赤ちゃんの咳は風邪以外にも原因がある?
小さな赤ちゃんが苦しそうに咳込んでいたら心配になりますよね。
咳と言えば「風邪」だと思いがち。
確かに、咳込む症状の代表的な病気と言えば風邪です。
しかし、風邪以外でも咳の症状が出る場合もあるのです。
生後6ヶ月くらいまでの赤ちゃんはママからもらった免疫に守られていると言われていますが、何らかの理由でママからの免疫が十分でない場合は低月齢の赤ちゃんでも様々な病気にかかることがあります。
また、抵抗力の弱い赤ちゃんは、病気に感染すると短時間で悪化したり重症化したりする場合もあります。
咳ぐらいと軽く考えずに、少し注意しながら観察し、気になる場合は医療機関を受診するようにしましょう。
咳は、のどから肺に通じている空気の通り道、気道(きどう)になんらかの異常が起きたり異物を感知した時に起きる身体の防御反応のひとつです。
異常や炎症が起きている場所やその原因となる病気によって、咳の様子が違います。
まずは、赤ちゃんの様子をよく観察してみましょう。
今回は、咳の症状があるときに考えられる代表的な病気を紹介します。
①風邪
正式名称は「風邪症候群」といいます。
いわゆる風邪ですが、その原因ウィルスは200種類以上といわれており、どのウィルスが起因したのか特定するのは難しいため、症候群と呼ばれています。
風邪の場合は「コンコン」と乾いた咳の場合が多いのですが、感染源のウィルスによって、くしゃみ、鼻水、発熱などの症状が併発することがあります。
②気管支炎
「コンコン」から「ゴホゴホ」と痰が絡んだような咳に変わり2週間近く続く場合は、風邪をこじらせて気管支炎を発症している可能性があります。
風邪で抵抗力が低下しているときに気管支に炎症が起きたもので、さらに炎症が進行すると肺炎や呼吸困難を引き起こすこともあります。
食欲があり元気がある場合は大きな心配は必要ありません。
成人の場合は徐々に治まっていきますが、赤ちゃんの場合は夜間も咳で眠れないことがあり重症化しやすいので医療機関を受診しましょう。
③肺炎
風邪や気管支炎をこじらせると肺に炎症が起こり肺炎を発症することがあります。
胸部のレントゲン撮影により診断がつきます。
原因となるウィルスや細菌はさまざまですが、「ゼロゼロ」「ゴホゴホ」と激しい咳が出て発熱があるのが特徴で活気も低下し、低月齢の赤ちゃんは呼吸困難の恐れがあります。
細菌性の肺炎の場合は抗生剤投与が有効な場合もありますが、点滴や入院が必要になることもあります。
④百日咳
百日咳は、最初は風邪のような咳が出るので、気が付きにくい病気の1つです。
「コンコン」と息が続かなくなるほどの連続した咳から、やがて咳の後に「ヒュー」と大きく息を吸い込むような音が出るのが特徴です。赤ちゃんが「コンコンヒュー」という咳をし始めたら百日咳の疑いがあります。
赤ちゃんの場合、咳き込みによる嘔吐や無呼吸発作などを起こし重症化の恐れがありますので注意しましょう。
四種混合ワクチンの接種により予防できますが、接種月齢以下の赤ちゃんも罹患することがありますので、地域で流行しているときは特に気を付けましょう。
⑤クループ症候群
「クループ症候群」、正式名称は「急性咽頭炎」といいます。
鼻水や軽い咳など風邪のような症状で始まりますが、やがて「ケンケン」という犬の鳴き声のような特徴的な咳や「ヒューヒュー」という息を吸い込む時に気道を空気が通る音が出始めるのが特徴です。
一般的に、夜間に症状が悪化する傾向があります。
1週間ほどで治ることが多いようですが、赤ちゃんの場合は呼吸困難や窒息に至る場合もありますので、いつもと違う咳が出た時は受診しましょう。注意が必要です。
赤ちゃんの咳が出る時の家庭でのケア
風邪の咳でも赤ちゃんはとても体力を使うもの。
家庭でも過ごしやすい環境を作ってあげましょう。
【ハウスダストに注意する】
空気中の見えないホコリやダニ、カビなどが原因で、気管支を刺激して咳を誘発している恐れもあります。
部屋の換気をこまめに行い、空気清浄機などを使って空気をきれいに保つように心がけましょう。
【加湿をする】
空気中の湿度が上がると呼吸が楽になることがあります。部屋の湿度は60%くらいに保ちましょう。
加湿器がない場合は、落下の心配のない場所に洗濯ものや濡れたタオルを干しておきましょう。
【こまめに水分補給をする】
咳をすると体力を消耗し、汗もかきます。
水分不足にならないように咳の合間に少しずつ水分補給しましょう。痰のからんでいるときも水分を与えると楽になります。
【消化の良い食事】
咳がひどいときは嘔吐しやすいため、治まっているときに少量ずつ回数を分けて与えます。
離乳食の場合は、おかゆやスープなど、のどの通りの良いものが良いでしょう。
【上体を起こして寝かせる】
横になると咳がひどくなる場合は座布団やクッションにもたれるように上体を起こします。
抱っこする時は縦に抱いてあげましょう。
まとめ
咳は発熱と並んで、風邪の代表的な症状です。
特に赤ちゃんの場合はもともと気管支が細く柔らかい赤ちゃんは痰を出しにくいので咳き込みやすいものです。
しかし、赤ちゃんの場合は風邪の咳であっても呼吸困難などを引き起こし重症化する恐れがあります。
また、風邪以外の原因が潜んでいる場合もあります。
たぶん風邪だろうと軽く考えずに、まずは赤ちゃんの様子をよく観察して、心配な場合は早めに医療機関を受診しましょう。