赤ちゃんと発熱
赤ちゃんはよく熱を出します。微熱だからと様子を見ていると、夕方から夜にかけて急に熱が上がって慌てることもよくありますよね。基本的には、生後3ヶ月以上の赤ちゃんであれば、夜間に急に熱が高くなったとしても、他に症状がなく赤ちゃんの機嫌が良ければ、特に心配する必要はありません。そのまま朝まで様子を見ても良いでしょう。
しかし、熱が高いと「脳へ悪影響を及ぼすのではないか?」「今すぐ熱を下げた方がいいのではないか?」と不安になるママも多いと思います。そこで今回は、赤ちゃんがなぜ発熱するかというメカニズムから、発熱時の解熱剤使用について詳しくご紹介します。
赤ちゃんが熱を出す原因は免疫システム
赤ちゃんが病気になった時に発熱するのは、実は悪いことではなく、むしろ体にとって大切な機能の1つなのです。
風邪などのウイルスに感染すると、体はウイルスに対する免疫力を高めようとするために体温を上昇させます。
血液の中には、免疫機能を持った「白血球」があり、体の中を巡りながら異物や細菌、ウイルスを監視し、見つけると撃退するのですが、この白血球の働きは、体温が低いと血の巡りが悪くなるため、活動が鈍くなり、発病しやすくなってしまいます。
逆に、体温を上昇させることで血流が良くなると、白血球が異物や細菌、ウイルスを素早く監視・駆除できるようになるので、病気が悪化しにくくなるのです。
このように、免疫システムを正しく機能させるために発熱が起こるというわけなのです。
赤ちゃんの発熱時に解熱剤を使う目安
赤ちゃんが急に高熱を出した時は、不安になってしまいますよね。基本的には、小児科の診療時間外で、熱が38.5℃以上あっても熱以外の症状がなく赤ちゃんの機嫌が良く、食欲があるようなら、経過を観察して次の日の診療時間内に受診して問題ありません。
ただし、以下のような場合は早急に病院を受診するようにしましょう。
・生後3ヶ月未満の赤ちゃんが38℃以上の熱を出したとき
・生後3ヶ月以上の赤ちゃんでも以下のような症状があるとき
①ぐったりしている
②顔色が悪い
③ミルクやおっぱい、水も飲まずおしっこが出ない
④いつもと泣き方が違う
⑤呼吸がおかしい
⑥意識がもうろうとしている
⑦下痢や吐く回数が多い
⑧頭痛がひどい
上記のような症状がなく、ただ熱が高いという場合には、無理に熱を下げようとしなくても良いでしょう。
安易に熱を下げてしまうと、免疫力が低下してしまいます。大人に比べると、赤ちゃんは熱があってもあまり辛くはないそうですので、経過を見守ることも大切です。
【解熱剤を使う目安は?】
一般的には、38~38.5℃以上の熱があり、食事や水分がとれずにぐったりしていたり、苦しくて寝付けなかったりする場合は、医師が処方してくれた解熱剤を使うようにしましょう。
前述したとおり、高熱であっても元気なようであれば解熱剤を使う必要はありません。
解熱剤使用時の注意点
熱が38.5℃以上あり食事や水分補給ができない場合は、赤ちゃんに解熱剤を使いますが以下のような注意点があります。
・生後6ヶ月未満の赤ちゃんの場合、解熱剤を使うと体温を下げすぎてしまうこともあるため、使用前には必ず医師に相談しましょう。
・解熱剤を使ったら6時間は経過を観察し、次に使うまで6時間以上間隔を空けるようにしましょう。服用は処方された薬の種類にもよりますが、1日2~3回までとし、必ず医師の指示通りに飲ませるようにしましょう。
赤ちゃんの解熱剤の種類
解熱剤には飲み薬と座薬がありますが、効果に違いはありません。吐き気がある場合は座薬、下痢などの症状がある場合は飲み薬というように使い分けると良いでしょう。
また、小児の解熱剤でよく使われるのは、「アセトアミノフェン」という成分を含んだものです。比較的副作用が少なく、発熱を抑える働きがあり、安心して使うことができます。
高熱による脳への影響と熱性けいれん
赤ちゃんが高熱を出した時、熱で脳がおかしくなるのではないかと心配するママがいますが、40℃を超えても脳には特に影響はないと言われていますので、慌てずに対処するようにしましょう。
注意したいのは熱性けいれんです。熱性けいれんは、38℃以上の急な発熱により起きるけいれん発作です。日本では、約5%以上の子どもが熱性けいれんを引き起こすと言われています。ほとんどの場合、5分程度でけいれんはおさまりますが、そうでない場合は、早急に病院を受診しましょう。
熱性けいれんを恐れて、解熱剤を早めに使用する方もいますが、解熱剤には熱性けいれんを予防する効果はありません。むしろ、解熱剤により、急な体温の変化を引き起こしてしまうので、熱性けいれんを起こしやすくしてしまいます。過去に熱性けいれんを起こしたことがあるという場合は、解熱剤の服用も医師に相談するようにしましょう。
まとめ
赤ちゃんが急に高熱を出すと、ママは不安になりますよね。今回ご紹介したような、発熱のメカニズムを正しく理解し、どのような時も落ち着いて対処するようにしましょう。