ミルクを飲んで続く下痢は乳糖不耐症?
赤ちゃんの便はもともと柔らかいし、下痢になることも多々あります。しかし、離乳食も始まっていないのに赤ちゃんの下痢が治らないと心配ですよね。
ただ下痢が続いているだけなのか、もしかしたら「乳糖不耐症」なの?と悩んでしまうママもいるかもしれません。
そこで今回は、乳糖不耐症の主な症状や原因に加え、ただの下痢なのかどうかを見分けるポイントや乳糖不耐症の子のための粉ミルクについてもご紹介します。
赤ちゃんの乳糖不耐症とは
赤ちゃんは、粉ミルクや母乳に含まれる炭水化物・脂質・たんぱく質・ミネラル・ビタミンなどを栄養素として消化吸収し、生命や健康を維持して体の成長につなげます。
母乳や粉ミルクの栄養素の中で、脳などの中枢神経の発育に大きく関わるのは炭水化物です。ミルクや母乳に含まれる糖をブドウ糖とガラクトースに分解して、小腸から吸収することで得られます。
乳糖を消化するためには乳糖分解酵素(ラクターゼ)が必要なのですが、このラクターゼが小腸から分泌されなかったり、分泌量が少なかったりすることがあります。そのため消化できない乳糖が大腸内で発酵したり、水分を吸収しすぎることにつながり下痢を引き起こすのです。
また、この乳糖を上手に消化吸収できなければ、三大栄養素である炭水化物をおっぱいや粉ミルクから体内にとり入れられないことになり、発育障害などにもつながります。
【乳糖不耐症になる原因①先天性】
粉ミルクを飲んだ赤ちゃんは、乳糖をブドウ糖とガラクトースに分解することで体内に吸収し、栄養としています。ですが、稀に、この乳糖を消化する酵素(乳糖分解酵素ラクターゼ)が欠けていて小腸で分泌されない赤ちゃんがいます。
このように、先天的に乳糖を消化するための乳糖分解酵素(ラクターゼ)が不足した体質であることが原因で、乳糖不耐症になる赤ちゃんもいます。
【乳糖不耐症になる原因②後天性・一時的】
感染症後、腸内環境が未熟なため、腸の粘膜に炎症が起き機能が低下することが原因で、消化酵素の分泌が減少し、乳糖が消化できずに下痢が続くことがあります。これは後天性、一時的な乳糖不耐症です。
急性胃腸炎のすぐ後などにみられる乳糖不耐症のほとんどが、この一時的な後天性の乳糖不耐症(二次性乳糖不耐症)になります。確かに胃腸炎になると大人でも下痢になりますね。
乳糖分解酵素のラクターゼは小腸から分泌されますが、胃炎で胃が荒れた時に小腸も荒れ、ラクターゼの分泌も減ります。そのため乳糖がうまく消化できずに下痢になるのです。感染症が治り、腸内環境が落ち着けば症状は治まります。これには2−3週間かかることがあります。
【乳糖不耐症かどうかを見分けるポイント】
乳糖不耐症の主な症状は、新生児の時から、あるいは乳児期の早い段階から、激しい下痢が続くことです。そして、乳糖不耐症か正常範囲内の下痢なのかを見分ける最大のポイントは体重が増えるか否かです。
新生児期や乳児期の赤ちゃんは下痢をしやすいものですが、下痢がすぐに治らなくも体が大きくなっていれば、正常範囲内で大きな心配は無いと思われます。心配な時はかかりつけ医に相談しましょう。
【乳糖不耐症の治療法】
病院で診察を受けて、乳糖不耐症と診断されると治療を受けることになります。赤ちゃんが母乳や粉ミルクを消化できるように、ミルラクト・ガランターゼなどの乳糖分解酵素材が処方されることになるでしょう。
また、医師の指示に従い、乳糖が入っていない無乳糖調整粉ミルクを飲ませることになります。
乳糖不耐症でも飲めるミルクって?
では、乳糖不耐症の赤ちゃんは、どうやって栄養をとれば良いのでしょうか?
乳糖不耐症の赤ちゃんには、乳不耐症用の無乳糖調整の粉ミルクがあります。調整して乳糖を取り除いた粉ミルクがラクトレスです。ノンラクトミルクとも呼ばれます。他にも、大豆でできた大豆乳(ボンラクト)や加水分解乳(MA-1)などがあります。
これらは、大きなドラッグストアやネット通販で購入することができますので、二次性乳糖不耐症で下痢が続いている時に治まるまで替えることもできます。
ただし、無乳糖調整の粉ミルクは、かかりつけ医に乳糖やガラクトースの摂取制限をするように指示された場合に、かかりつけ医や管理栄養士の指導に従い与えた方が良いです。
下痢が続く赤ちゃんに自己判断で無乳糖調整の粉ミルクを飲ませるのではなく、きちんと病院を受診しましょう。
まとめ
乳糖不耐症の原因は、ラクターゼという酵素が分泌されなかったり分泌量が減ったりすることで乳糖が消化不良になることです。それにより栄養がとれず、下痢が続き、体が成長しないこともあります。
ただの下痢なのか、乳糖不耐症なのかは自己判断ではなくかかりつけ医の診断を仰ぎましょう。
乳糖不耐症でも飲める粉ミルクはあります。乳糖不耐症と診断されたら、赤ちゃんがまったく粉ミルクを飲めないということではありませんので、安心してくださいね。
離乳食を食べるようになれば、さらに栄養状態の改善が期待できるでしょう。