母乳に含まれる栄養成分
母乳は赤ちゃんの大切な栄養源。「赤ちゃんの最適食」ともいわれる母乳にはどんな栄養成分が含まれているのかご存じでしょうか。
【脂質】
脂質は赤ちゃんの神経組織の発達、ホルモン生成などに役立ちます。また、運動エネルギーの元としても使われます。
【たんぱく質】
たんぱく質は、内臓や血液、筋肉、骨や歯など赤ちゃんの体の基本となる栄養素です。母乳に含まれるたんぱく質は、牛乳に比べても、消化吸収に優れ栄養価が高いのが特徴です。
【ビタミン】
赤ちゃんの臓器の成長に必要です。さまざまなビタミンが含まれていますが、免疫力を高めるビタミンA、骨の成長に必要なビタミンD、抗酸化作用のあるビタミンEなど特に重要なビタミンがしっかり含まれています。脳の発達を促す葉酸もビタミンの一種です。
【ミネラル】
赤ちゃんの成長に大切なカルシウム、マグネシウムなどのミネラルは体内で作ることができません。
また、ミネラルの過剰摂取は気を付けなければならないのですが、母乳にはミネラルが配合されています。
【炭水化物】
母乳に含まれる炭水化物の主成分は乳糖とオリゴ糖です。
乳糖は、骨の成長に必要なカルシウムの吸収を助ける働きがあります。
オリゴ糖は、腸内でビフィズス菌を増やしたり有害な菌の付着を防いでくれることにより、下痢や便秘をしやすい赤ちゃんの腸内環境を整えてくれます。
このように、さまざまな栄養素がバランスよく組み合わさっているようです。ママはそんな「赤ちゃんの最適食」といわれる母乳を作っているのですね。
実は足りない栄養成分もある!
赤ちゃんの最適食と言われる母乳ですが、実は母乳にも不足している栄養成分があります。
【ビタミンK】
血液の凝固などに関わるビタミンの一種で、不足すると出血しやすくなることがあります。しかし、母乳に含まれているビタミンKは非常に微量なのです。そのため、病院や産院では赤ちゃんにビタミンKシロップを与えます。
母乳からもできるだけビタミンKをとれるよう、ママの食事を工夫する必要があります。納豆、小松菜、ほうれん草などにはビタミンKが豊富に含まれていますから、積極的に食べるようにしましょう。
離乳食の時期になったら、離乳食メニューに取り入れるのも良いですね。
【鉄分】
母乳は血液から作られています。そのため、授乳中はどうしても鉄分不足になりがちで、貧血気味になるママも多いようです。
母乳に含まれる鉄分量も微量ですので、特によく自分で動くようになる生後6ヶ月以降の赤ちゃんにとって、もともと母乳に含まれる量だけでは鉄分が不足しがちです。
鉄分は、肉類、魚介類、レバー、卵などに多く含まれているので、離乳食等でカバーしたいですね。
母乳の成分が変化するって本当?
母乳は、時期によってその成分バランスが変化することも知られています。
【初乳】
産後2〜5日間ほどの母乳を初乳と呼びます。赤ちゃんが生まれたあとに作られる初期の母乳ですね。
初乳は黄みがかかっており濃度も濃くなっていますが、とても少ない量(1日に50mlほど)しか出ません。
通常の母乳と同じ栄養素が含まれていますが、特別に新生児向けに抗体や白血球の値がとても高くなっています。
つまり、外の世界に出たばかりの新生児を感染症やその他の疾患から守ってくれる、天然のワクチンなのです。
たんぱく質やビタミンの濃度も高くなっており、新生児の免疫力を高めたり、胎便(新生児の最初のウンチ)の排泄を助けたりする働きがあります。
【移行乳】
産後1〜3週間目くらいの母乳を移行乳と呼びます。文字通り、初乳から成乳に移行する期間で、栄養成分のバランスも変化していきます。
移行乳は少しクリーム色をしており、質感もクリームのようだといわれています。
初乳に比べて免疫成分やたんぱく質は減っていきますが、急速に成長していく赤ちゃんのために、脂質、糖質、カロリーなどは高くなっていきます。
【成乳】
産後4週間以降の母乳を成乳と呼びます。赤ちゃんは外の世界にも慣れ、少しずつ免疫もついてきているので、免疫成分やたんぱく質の割合はさらに少なくなってきます。
代わりに、赤ちゃんの成長と発達をサポートするために、エネルギー源となる脂質、糖分などの割合が高くなってきます。
初乳の頃は少なかった母乳量も成乳になる頃には増えてくることが多いので、そんなに心配することはありません。
赤ちゃんがなかなか上手に飲めなかったり、ママの乳首の形によって少し飲みにくいようであれば母乳外来などに相談してみるのも良いですね。
まとめ
「赤ちゃんの完全食」「天然のワクチン」・・・母乳ってほんとうによく考えられて作られているんですね。しかも、ママの血液が作られている限り、母乳の栄養成分は変わらないそうです。
ただ、成長著しい赤ちゃんは、だんだんと母乳の栄養だけでは足りなくなってきます。その頃に離乳食とうまく併用していきましょう。