母乳はママの血液から作られる?!
産まれた赤ちゃんの大切な栄養源である母乳。この母乳は何から作られるかご存じですか?実は母乳はママの血液を材料にして作られます。
血液と言えば一般的に赤い血を思い出しますが、母乳は白いですよね。そのため、なかなか母乳が血液から作られると言ってもイメージが湧きにくいのではないでしょうか。今回は母乳はどのようにして作られているのかをご紹介しながら、母乳育児だからこそ気を付けたい点をまとめました。
母乳はどのように作られている?
母乳は赤ちゃんが産まれたら自然に分泌されるものだと思っている方も多いでしょう。その仕組みにはママのホルモンの作用が大いに関係しているようです。
【母乳とママのホルモンの関係】
妊娠すると、ママの体の中では「プロラクチン」と「プロゲステロン」というホルモンの分泌が盛んになります。プロラクチンは乳腺の発達を促進させ、乳房を大きくさせる働きをします。しかし、プロゲステロンというホルモンが母乳の分泌を抑制する働きをするため、妊娠中は母乳がでることはほとんどありません。
出産後も、プロラクチンはたくさん分泌され、発達した乳腺で母乳を作ります。しかし、母乳が出るのを抑えていたプロゲステロンの働きは弱まり、その代わりに”オキシトシン”というホルモンが分泌されはじめます。オキシトシンとは別名「愛情ホルモン」や「幸せホルモン」と呼ばれるホルモンで、母乳を出す役割をします。
【母乳は血液から作られている】
プロラクチンというホルモンが乳腺で母乳を作ることが分かりましたが、どのように作られているのかも詳しく見ていきましょう。
乳腺の周りには多くの毛細血管が張り巡らされており、血管の中には血液が流れています。血液は食べたものを材料にして作られるのはご存じですよね。乳腺にある乳腺体という細胞は、血液の中から赤ちゃんの発育に必要な成分を取り込みます。
そしてさらに栄養のある成分を合成し、母乳を作るのです。母乳の中に含まれている成分は元々はママの血液の中に合ったものなので、母乳は血液から作られるということなのですね。
ちなみに血液が赤いのは赤血球という赤い成分が含まれているからなのですが、母乳には赤血球は含まれません。そのため、母乳は透き通っていたり、白く見えたりします。
栄養いっぱいの母乳を作るには?
ママが食べたものから血液が作られ、その血液から乳腺へ浸透した栄養や成分を合成して作られる母乳。その母乳にはどのような成分が含まれているのでしょうか。
【母乳に含まれる成分】
母乳には赤ちゃんの成長に必要な成分がたくさん含まれています。たんぱく質、脂肪、ビタミン、ミネラル、鉄分などの栄養素のほか、免疫力を高める白血球や睡眠リズムを作るホルモンなども含まれているようです。
そして成分は時期によっても異なります。例えば生後2~3日の間に出る母乳は「初乳」と呼ばれ、生まれたばかりの赤ちゃんを病気から守る成分が多く含まれています。初めて母乳を飲む赤ちゃんの消化器官にも優しい成分です。
その後は母乳の量も増え、赤ちゃんの発育を支える成分が多く含まれる母乳が出始めます。生後4週目頃からは母乳の量も徐々に赤ちゃんに合わせて調節されていきます。
【栄養いっぱいの母乳を作るには?】
赤ちゃんの成長と赤ちゃんを病気から守るための栄養がいっぱい含まれた母乳。良い母乳を作るためにはママはどのようなことに気を付けるとよいでしょうか。
授乳期のママが気を付けたいことは、何よりママが健康であることです。出産という大仕事を終えたママの体には、たくさんの栄養が必要です。栄養のあるものをたくさん食べて、しっかりと元気に過ごすこと。
そのことが各器官やホルモンの分泌を正常にし、赤ちゃんの成長に必要な成分が含まれた母乳を作り出します。
【母乳育児で気を付けたいこと】
母乳が血液から作られることを考えると、赤ちゃんにとって悪影響を与えるかもしれない成分の摂取には気を付けましょう。具体的には次のようなものです。
・タバコ
・アルコール
・薬(授乳中であることを医師に伝え、その上で処方されたものを除く)
・カフェイン(過剰摂取に注意)
これらの成分をママが摂取したからといって、そのまま母乳へ移行するわけではありません。移行するとしても数パーセントです。しかし、たった数パーセントでも、体の各器官が未発達の赤ちゃんにとって、影響を与えてしまう可能性はゼロではありません。
赤ちゃんの成長への悪影響が少しでもあるかもしれないと思うものは避けましょう。
まとめ
母乳は赤ちゃんの大切な栄養源です。ママの血液を材料にして作られるので、赤ちゃんに不必要な成分には気を付けたいところですね。そして母乳を作るのも、赤ちゃんに母乳をあげられるのも、ママが健康であるからこそ。
慣れない育児で大変な時期ではありますが、しっかりと栄養のあるものを食べ、体を回復させ、健康でいましょう。母乳育児の期間は赤ちゃんの一生のうちのほんの少し。大切な赤ちゃんと授乳期間を大切に過ごしましょう。