タバコが母乳にもたらす影響はある?
母乳を与えている間は、喫煙を避けなければならないと、なんとなく分かっていても、なかなかタバコをやめられない。
しかし、そんな方もタバコが母乳にもたらす影響などを具体的に知ることで、禁煙することができたり、1日の喫煙本数を減らすことができるかもしれません。
今回はタバコがもたらす母乳への影響を解説していきます。
タバコが母乳にもたらす影響
タバコというと紙巻タバコが一般的ですが、最近話題の電子タバコも母乳に影響を及ぼすと言われています。
また、タバコに含まれるニコチンの影響で、赤ちゃんが体調を崩してしまう可能性もあります。
(電子タバコにはニコチンが含まれていないものもありますが、その他の有害物質が含まれている可能性もあります)
タバコによる母乳への影響について、詳しくみていきましょう。
【母乳の分泌低下】
赤ちゃんがママのおっぱいを吸うと「プロラクチン」というホルモンが分泌されて母乳が作られます。
しかし、タバコに含まれるニコチンには、プロラクチンの分泌を抑制する働きをします。
その結果、授乳をしているママが喫煙すると「プロラクチン」の分泌が遅れるだけでなく、分泌自体が減少してしまうという現象が起こります。
特に1日に4本以上喫煙するママは喫煙しないママに比べて母乳の分泌量が1~2割ほど減り、タバコの本数が増えるほど母乳の分泌量は減ってしまうと言われています。(※1)
(※1)厚生労働省HPより「授乳期の喫煙の影響(https://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/02/dl/h0201-3a3-02h.pdf)」
【赤ちゃんの発育を妨げる】
また、タバコに含まれるニコチンなどの化学物質は、母乳を通じて赤ちゃんに送られ中毒症状を引き起こす可能性があります。
喫煙していたママの母乳を飲んでいたというだけで、慢性ニコチン中毒になったという事例もあるので注意が必要です。
その他、赤ちゃんがグズグズする、眠れない、下痢、嘔吐、頻脈などの症状がでることもあります。(※1)
喫煙数が多ければ多いほど、症状が赤ちゃんに起こってしまう可能性もあるので注意しましょう。
(※1)厚生労働省より「授乳期の喫煙の影響(https://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/02/dl/h0201-3a3-02h.pdf)」
【副流煙の影響・誤飲などの危険も】
その他、母乳とタバコの関係とは少し離れますが、副流煙の影響も大きなものがあります。
この場合はママだけでなく、パパが喫煙者の場合はパパにも注意してもらう必要があります。
赤ちゃんがタバコの煙を吸う(受動喫煙する)ことで、赤ちゃんの肺活量などの呼吸機能に影響が出ることがあるからです。
また、乳幼児突然死症候群の増加、気管支炎、気管支喘息、肺炎、中耳炎などの症状が出る場合もあります。(※2)
(※2)東京都薬剤師会HPより「家庭での喫煙の影響は?(https://www.toyaku.or.jp/health/tobehealthy/pdf/tabakotokenkou_ippanyou.pdf)」
また、タバコの誤飲も危険です。
誤飲とは食べ物以外のものを間違って食べてしまうことを言いますが、赤ちゃんの誤飲の中で多いのがタバコの誤飲ということをご存じでしょうか。
赤ちゃんがタバコを誤飲すると、急性中毒になるので、タバコの置き場所も考慮しなければいけません。
喫煙後に母乳を与えてもいい?
タバコが母乳や赤ちゃんへの影響することが分かりました。
ではやはり喫煙後は母乳を与えない方がいいのでしょうか。
実は現在では母乳栄養のメリットが大きいことから、喫煙していても時間を開け、母乳を与えた方がいいとされています。
母乳には、副流煙が影響する可能性があると言われている気管支の感染症になったり、ぜんそくになったりするリスクなどを下げてくれる可能性があるからです。
タバコを吸った直後は、母乳中のニコチン濃度が普段の2~3倍と非常に高くなります。(※3)
そのため、喫煙直後の母乳を与えるのは避けた方がいいでしょう。
タバコを吸い終わってから、3時間ほど経つと母乳中のニコチン濃度が低下するので、母乳を与える場合は喫煙の3時間後から行うのがいいでしょう。
(※3)くまもと禁煙推進フォーラムより「喫煙と母乳育児編(https://square.umin.ac.jp/nosmoke/material/TS_prmilk.pdf)」
タバコの母乳への影響が気になる場合
やはりタバコの母乳や赤ちゃんへの影響が気になる場合は、禁煙を考えるか、ミルクに切り替えるという方法もあります。
【タバコがやめられない原因は何なのか考える】
タバコをやめるのはなかなか大変なこと。
しかし、これを気にやめたいと考えている方は、まずやめられない原因を考えてみましょう。
育児のストレス、思い通りに進まない家事、寝不足、夫婦関係など、育児中はたくさんのストレスがあるでしょう。
そのストレス解消のためにタバコを吸っているのであれば、それらのストレスを他で解消したり、原因となるものを取り除くと、禁煙や本数を減らせるようになるかもしれません。
【母乳からミルクに切り替える】
どうしても禁煙はできないけれど、タバコの母乳の影響が心配な方は、授乳をせずにミルク育児に切り替えるのも検討してみましょう。
ミルクにも赤ちゃんが健康に成長できるよう、必要な栄養素が含まれています。
きっぱりとミルクに切り替えることで、喫煙したことへの罪悪感や、赤ちゃんの体調などの心配、母乳の分泌量やタバコによる母乳への影響などのストレスも減らすことができるかもしれませんね。
まとめ
タバコが母乳や赤ちゃんへ与える影響は大きいですが、母乳の持つ赤ちゃんへのメリットも大きいもの。
タバコをやめるのも難しいかもしれませんが、具体的にどのような影響があるのか,や、喫煙後の授乳についても正しい知識を持つことが大切です。
もちろん、ママだけではなく、パパも一緒に、タバコの良くない影響が赤ちゃんに及ばないよう考えていきたいですね。