リトミックの発案者と成り立ち
リトミックは、スイスの作曲家で音楽教育家でもあるエミール・ジャック=ダルクローズによって、19世紀後半に開発された音楽教育の手法です。
リトミックの語源は、フランス語でリトミック(rythmique)、英語ではユーリズミックス(eurhythmics)といいます。
子どもの初めての習い事として人気があるリトミックは、一般的に幼児向けの「音で遊んで体を動かすリズム体操」と思われがちですが、リトミックを考案したエミール・ジャック=ダルクローズは、もともと音楽家を育てるため、表現者を育てるための教育法として開発したのです。
リトミックのプログラムは、「読譜力を養うもの」、「即興力を鍛えるもの」、「音を体で感じるもの」の三本柱から構成されています。とても柔軟で応用しやすいプログラムなので、三本柱のひとつである「音を体で感じるもの」をアレンジして幼児教育の手法にし、リズム体操を行っているのです。
リトミックが教育に役立つ理由
リトミックを幼少時から続けていると、表現者として必要な聴力・音感・リズム感などの感性を磨くことができます。これは音楽の方面ばかりでなく、読み書きや計算、運動や創作につながる能力の基礎が身につくことにもなるそうです。
では、なぜリトミックがこのように教育に役立つのでしょうか。
大脳の運動を司る運動野と感覚を司る感覚野は、手足とつながっているので、手足を動かすことで刺激され、脳神経を発達させます。
リトミックで行われているリズム体操は、「映像を見る」「流れる音楽を聴く」「曲に合わせて歌う」という3つの動作を同時にしますので、脳の運動野や感覚野を使いながら一度に複数の情報を処理し命令を送らなければならず、大脳の広い範囲に刺激を与えて体を動かすので、脳神経を発達させることができるのです。
つまり、リトミックは音楽に合わせて手足を動かすことで、脳を活性化し、脳神経を発達させ成長させるという意味で、教育に役立つと言えるでしょう。
リトミックの方法
リトミックに年齢制限はないので、いくつからでも始められますし、また、いつまでという決まりもありません。赤ちゃんは、言葉より早く音やリズムに反応します。
そのため、早い時期に音楽を通して、心と脳を刺激することは、赤ちゃんの成長に良いことです。赤ちゃんに気持ちの良い刺激を与えてあげるつもりで、音楽に触れさせてあげましょう。
使用する音楽はCDでもよいですが、ピアノなら赤ちゃんの動きに合わせて曲のテンポを変えて演奏でき、より音楽を肌で感じられます。 教室に習いに行くのもよいですが、自宅でも簡単にできます。
ポイントは、「見る」「聞く」「動く」などの3つの動作を同時にすることです。
例えば、まだ言葉がでない1歳くらいなら、好きな音楽にあわせ、赤ちゃんと見つめあって、首を振ったり、リズムよく体を上下にバウンドしたりします。
新生児期なら、音楽を聞かせながら、抱っこして優しくゆらゆら揺らしたり、撫でてあげると良いでしょう。パパやママだけでなく、おじいちゃんやおばあちゃん、家族みんなで楽しむことができるリトミックで、豊かな感性と知性を育んでみましょう。