「産後ケア」はママにも家族にも大切!
産後ケアは、産後のママの体や心の回復を包括的に考えたケアのことです。
赤ちゃんだけでなく、ママ自身のためにも大切なことです。
この記事では、産後のケアがなぜ大切なのかをご紹介していきます。パパをはじめ、家族全員で知っておけるといいですね。
ママに起こる産後の体の変化
まずは、産後のママに起こるあらゆる変化を知っておきましょう。
産後のママの体は産褥期(さんじょくき)と呼ばれる2〜3週間だけ休めば元通りという訳ではないのです。
パパが想像もしていない体の変化でママが苦しんでいることがあります。例えばこのような変化です。
【後陣痛】
子宮の収縮による陣痛よりも痛い事から、後陣痛と呼ばれています。特に初産の場合、後陣痛を知らなかったというママもいます。
【会陰切開の痛み】
出産の際に膣と肛門の間の皮膚を切る会陰切開による痛みは、長く続くこともあり、立ったり歩いたりが辛いことも。
【痔】
出産の圧力によって痔になるママもたくさんいます。
また、痔のためトイレへいくのも億劫になってしまい、我慢してしまって悪化する場合もあります。
【便秘】
産後のママは、出産や母乳の為に水分不足になり便秘に悩む事もあります。
【乳腺炎】
乳腺炎は、軽いものも含めると4人に1人のママが発症するとも言われます。
乳腺に乳汁が溜って炎症が起き、母乳に血や膿が混じってしまうことも。
ときには、痛みや高熱を伴うこともあるのです。
ママの水分不足や体調不良などで赤ちゃんが飲まないことでも起こりやすくなります。
【目の疲れや視力低下】
産後のママは、育児の睡眠不足や出産の疲労が目にも影響してきます。
また、赤ちゃんに毒素がいかないようにママの腎臓がフル回転で働くこともあり、産後は腎臓の疲れが目に出やすいのです。
【抜け毛】
産後には抜け毛が一気に増えることもあります。
ホルモンバランスによる一時的なものなのですが、不安になり悩むママも多い変化です。
産後のママの体は、出産のダメージに加え、ホルモンバランスや慣れない育児でたくさんの負担を抱えます。
このときに無理をすることでママの体にダメージが残ることもあるため、産後ケアを通じてママの体の回復をすることが必要になります。
ママに起こる産後の心の変化
出産後に精神的に不安になったり、落ち込んだりした経験があるママは7割とも言われています。
全身全霊で出産に臨んだママが、ホルモンの影響で自分の意志とは反して精神的なダメージの代償を受ける事は大いに考えられます。
個人差はありますが、産後半年になっても精神的な症状を感じているママもいます。日本では10人に1人が産後うつを経験するとも言われています。
そういったことの予防として、心の面での産後ケアも重要です。
【気分の落ち込み】
産後の体が急激に母としての体に変化を始めることで、ホルモンバランスが大きく変わります。それに伴い、わけもなく涙が出るなど、気分が落ち込むことも。
ようやく出産を終えたばかりなのに「ママ」と呼ばれ、やることが増えるといった環境の急激な変化も影響しています。
【イライラ】
産後は幸せそうな母親像がイメージされることが多いかもしれませんが、実際は計り知れないダメージと疲労でぐったり。
赤ちゃんや家族へわけもなくイライラすることがあります。
【理解のない夫への失望】
「出産でいない間、仕事と家の事で大変だったから奥さんが帰ってきたら楽になれるな」
などと気楽に考えているパパはいないでしょうか。産後の生活は想像以上に大変です。
赤ちゃんは生まれた日からお世話なしでは生きられませんが、ママがすべてをやらなければいけないわけではありません。
おっぱいを飲ませることはママしかできないとしても、それ以外はパパがやっても良いのです。
心のケアにはパパや周りの家族からの労いの言葉や優しさが重要です。
いくら、医療従事者にケアをされても「早く元気にならないと皆に迷惑をかけてしまう」とママが罪悪感を抱いていては、回復するものもしません。
赤ちゃんを大事に思う分だけ「自分の事は良いから」と心のケアをないがしろにしてしまうケースもあります。
その母性をしっかり受け入れた上で、パパや周りの家族達は心のケアを意識してください。
ママの産後ケアは必須!
産後はどうしても赤ちゃんの方に意識が向いてしまいますが、1番大変なのは大仕事を終えたママです。
ママになる女性は自分を守る意味でもしっかりとした産後ケアの知識を持ち、その権利を主張する勇気を持って下さい。
その為には一番近くにいるパパの協力が必要です。
育児はママだけのものではありません。パパができることは全てやるくらいの気持ちを持ってもらえるといいですね。
赤ちゃんが生まれたらママはなんでもできるわけではありません。
できているように見えるかもしれませんが、赤ちゃんを産んだママだからできるのではなく、赤ちゃんの命を守るために必死で試行錯誤しながら頑張っているだけです。ママがやる、パパがやる、ということではなく、夫婦で、赤ちゃんとママとパパの3人にとってどうしていくことが良いのか考えていけるといいですね。
ヨーロッパでは産後のママ中心のケアに重点を置いて社会全体が動いています。
日本では産後のケアについて、ヨーロッパほどのレベルには達していません。
だからこそ、家族みんなが産後ケアについて正しい知識を持ち、ママを全力でサポートしてあげる必要があるのです。
赤ちゃんの健やかな成長の為にも、ママの産後ケアを大切にしましょう。