基本は栄養バランスのとれた食生活
普段からバランスよく栄養をとることは大切ですが、妊娠中はいつもより多くとらなければならない栄養素があります。その代表がカルシウムや葉酸、鉄分・亜鉛、ビタミン、食物繊維です。これらの栄養素は、妊娠中のマイナートラブル防止に役立ちます。
しかし、体重管理をしつつ、毎日の食事から必要な栄養素をすべてとるのは大変なことです。手軽に利用できる健康食品やサプリメントを上手に活用しながら健康管理に努めましょう。
妊娠中は子宮が腸を圧迫したり、ホルモンの影響で腸の働きが鈍くなることがあります。理想的な食事は、食べやすく消化・吸収のよいものが望ましいでしょう。妊娠中の便秘予防にも、規則正しい食生活は効果的です。
また、妊娠中は、つわりで食事が十分にとれないこともあると思いますが、お腹の赤ちゃんは、必要な栄養素を優先的にママからもらっていますので、体調の悪い時は無理して食べようとしなくても問題ありません。
葉酸
妊娠・授乳期に不可欠な栄養素として知られているのが「葉酸」です。葉酸はビタミンB群の水溶性ビタミンで、ほうれん草などの葉物をはじめとする緑黄色野菜、豆類、レバーなどに多く含まれます。妊娠前や妊娠初期に十分に摂取することで、赤ちゃんの神経管の先天異常の発症リスク低下が期待できるとして、積極的な摂取が呼びかけられています。
2015年の厚生労働省のデータでは、葉酸の1日の平均必要量は18歳以上の成人男女で200μg、妊娠中は400~480㎍摂取するのが理想的と言われています。(※1)
しかし、2017年の同省・国民栄養調査によると、20代~40代女性の1日の葉酸摂取量は、いずれも300μg未満であることが判っており、意識的に取り入れなければ、1日の必要量をクリアするのは難しいことがわかります。(※2)
特に葉酸は水溶性ビタミンなので、加熱すると食品に含まれる葉酸の半分近くが流失してしまうため、食べた量に比例して葉酸を摂取できているとは限らないのです。また、毎日排出されてしまうので、継続的な摂取が必要となってきます。なるべく普段の食生活で、葉酸が多く含まれる野菜や果物、豆類などをバランスよくとることを心がけましょう。
葉酸は、赤ちゃんの成長はもちろん、ママにとっても貧血予防に役立つ欠かせない栄養素です。食品だけで摂取するのは難しいので、サプリメントなどで補うことも考えてみましょう。
※1.「日本人の食事摂取基準(2015年版)」厚生労働省を元に作成
※2.「国民健康・栄養調査(2017年版)」厚生労働省を元に作成
鉄分
鉄分は、血液中で酸素を運搬する働きのあるヘモグロビンを作るのに欠かせない栄養素です。赤ちゃんの成長にも欠かせません。妊娠中は特に貧血になりやすくなるため、赤身の肉や魚など鉄分を多く含む食品を積極的にとるようにしましょう。
レバーは鉄分が多い食材として有名ですが、ビタミンAも高くビタミンAのとりすぎは赤ちゃんにとって良くないので、週に1回程度に留めましょう。
カルシウム
骨や歯など、赤ちゃんの体の成長に欠かせない栄養素です。妊娠してない時期でも不足しがちな栄養素ですが、妊娠中にカルシウムが不足すると、年齢を重ねてからの骨粗しょう症などにもつながる可能性があるため、ママの体のためにも積極的にとるようにしましょう。
カルシウムは、乳製品や小魚に多く含まれます。マグネシウムやビタミンC、Dと一緒にとると、カルシウムの吸収を助けてくれるのでおすすめです。